わが家には知的障害の障害程度が『重度』で自閉症スペクトラムの傾向がある長男くんがおります。
以前に、「障がい児育児に係る情報取集について」ということでYoutubeの『障害者サポートチャンネル』を紹介しました。
そのチャンネルの情報発信者であり、弁護士で障がい児の親でもある前園進也氏が新たに書籍を発刊されていました。
「障害者の親亡き後プランパーフェクトガイド 単行本 – 2024/4/15(前園進也 著)」(ポット出版プラス 価格2,200円+税)
勝手ながら今回はその紹介をしたいと思います。
率直に言って、オススメです
わたし自身、とある親の会主催のセミナーで紹介されていたこともあり、実際に買ってみて読んでみての感想ですがとても良かったです。
こんな方にオススメです(お子さんの障がいの程度に関わらずオススメです)。
・親亡き後について漠然とした不安を持たれている方
・親亡き後のプランについて具体例が知りたいと思っている方
・障がい児育児についてとりあえず何から勉強していいかよく分からないと思っている方
・親亡き後プランも含めた障がい児育児の全般について知りたい方
わたしも個別にいろいろと勉強してきたつもりですが、それらが網羅的に全体的にまとめられていて大変勉強になりました。
むしろ初めからこの本に出会えていれば、遠回りしなくてよかったのにと思ってしまいました。
それくらい良い本でした。
著者の前園氏には感謝です。
書籍の概要
本書では、以下のステップ1からステップ7まで分けて、、、
・障害者の収入には何があるのか
・障害者の支出には何があるのか
・親亡き後に残す金額の算出
・親亡き後の資金をどう貯めるか
・親亡き後の資金をどう残すか
・親亡き後の財産をどう管理するか
・親亡き後の相談先とステップの実行
といった具合に、具体的に個々の課題を確認し、対応策についての考えを教えてくれます。
障がい児育児における特別児童扶養手当のことや、節税に関わる控除の話、住まいに関わるグループホームのこと、成年後見の制度のこと、いまのうちから遺言書を準備しておくことの大事さなど、本当に丁寧に教えてくれます。
まったくの知識がない方からすると、消化していくのに少し時間がかかるかも知れませんが、一つ一つの事柄は絶対に“知っておいた方がいいこと”なので、ゆっくりでもいいのでとくにかく読み進められることをオススメします。
弁護士さんが書かれているので法律的なことも詳しく(著者からすればそれでもかなり端折ったと言われておりますが、、、)私としては「ココのコレが知りたかったんです!」と納得できるポイントがたくさんあり助けられました。ただし、そこの厳密さが逆に難しく感じてしまい、取っつきにくさを感じてしまうかも知れません。そういう場合には、書籍の中身で知っておいて損な知識はないと思うので、まずはフンフンと思って読み飛ばしていくことをオススメします。
障害福祉の知識が豊富で、かつ、法律の知識がバッチリで、しかも、障がい児育児の当事者である方からの本なので、めちゃめちゃ希少だと思っています。
夫婦でお互いに読むこともオススメ
できれば、ママパパの双方で読んでみてお互いの共通理解の基盤を作れると最強だと思います。
(わが家でも近々ママにも読んでもらう予定です。むしろ本を買おうと言ってくれたのはママだったので…。)
夫婦って役割分担のようなものがあり、お互いに知っている知識の深さに濃淡があると思っています。
お互いに強み弱みがあって、それぞれを補っている状態でしょうか。
わが家でも何とか日常を乗りこなしている状況ですが、この本をきっかけに夫婦それぞれの知識や理解などがいっぺんにアップデートできることを狙っています。
・いま現状で必要なこと
・将来的に必要になっていくこと
これらのことが互いに分かっていると、とても話が早いです。
もし、分からない内容があってもママパパで一緒に調べられると理解も早いですしね。
是非オススメです。
(それに二人で読めば本のコスパもよいですし★)
本を読んでみて賛同するところともっとこうした方がいいのではと思ったところ
さて。
ここまで、劇推し(ゲキオシ)と言っていいほど推してきたのですが、この本で書かれていたことすべてに賛同して親亡き後プランもその通り実行していくのかというとそうでもないです。
それはそうですよね。
著者の置かれた状況とわが家とでは条件が異なりますし、それぞれのご家庭にもいろいろと事情がありますしね。
(著者のお子さんも重度の知的障害があり、年齢も近いし持ち家有りということもあって、わが家とケースは似ており大変参考になりました)
ただ、繰り返しますが、この本に登場してくる手当や制度、ものごとの考え方についてはとても勉強になりますし、知っておいた方が絶対にいいと思っています。
なのでオススメはオススメであり、概ね賛同するところが多かったです。
…。
さてさて。
それらを踏まえて、わが家のプランをどうするかなのですが。。。
このあたりのことは是非とも書籍を読まれた方と一緒に議論をしてみたいですね。
(それぞれのご家庭に合わせて「わが家はこうする」とかを一緒に話し合ってみて相談するようなことをいつかしてみたいなぁと)
本の内容とは違ってわが家ではこうしようと思ったこととしては、、、
・障害者扶養共済(しょうがい共済)は利用せずに、
・代わりに投資信託の資産運用で親亡き後のお金を用意する
です。。。
著者も本の中で、NISAやiDeCoなどについて言及されており、実際に積み立てなどもやっていると仰っています。
なので資産運用という面では実行されているというお話です。
ということであれば、しょうがい共済で親亡き後に備えるよりも、投資信託による資産運用でお金を準備する方がメリットが大きいとわたしは思っています。
もちろん、しょうがい共済による、、、
・節税のメリット(掛け金が全額所得控除になるというかなりデカいメリット)
・残された子どもに定額で終身給付のメリット(お子さんが亡くなるまでず~っと2万円 or 4万円の支給があるのは助かる!)
・しかもその給付はもしもの生活保護のときの収入には該当しないメリット(生活保護のお世話になるかどうかは置いておいて、これもスゴいメリット)
などのメリットも理解しています。
このあたりの話については書籍の内容を読まれていないとよく分からないと思います。すみません…。
ただ、ちょっとココはわが家の考えとは違うな~、わが家ではこうするかも~という話をさせてもらっています。
…。
「しょうがい共済の掛け金は特別児童扶養手当を充てればいいじゃない」という考えもアリといえばアリだと思いますが、最低20年間も保険料を支払い続けなければならない制約があるのであれば、むしろ資産運用の方が相性がいいのではと思ってしまいます。
生意気言ってすみません…。
なので、わが家では長男くんに関連して入ってくるお金(通常の児童手当(月1万円)や特別児童扶養手当(約5万円)、出産お祝いやお年玉など)については、すべて運用に回しております。
もちろんしょうがい共済が悪いというわけではないのですが、書籍の中で資産運用の考えをもっと積極的に取り入れてもよいのではと思ってしまいました。
ただ、このあたりの考えは本当に個人の“思想”に関わってくるものでもあるので、ひとそれぞれですかね。
最後に
いずれにしましても、とても良い本です。
ぜひ読んでみてください。
お値段以上です。
やっぱり本ってコスパが良いですよね。。。
それに、この本に書いてあることの大部分が、それなりに自分自身で聞きかじってきたことが多かったといういうのも感慨深かったです。
最初からこの本で勉強できていたならばもっとショートカットできたんだろうと思う反面、自分でもよく調べてきたなぁと思う次第です。
多くの人にこの本が届くことを願っています。
ではでは。
コメント